30代になり、資産運用を始めてみようと考えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、30代の資産運用状況や投資を始めるメリット・デメリット、おすすめの投資方法をご紹介します。
目次
30代の資産運用状況
30代の平均収入や資産運用状況を知ることで投資を始める時の参考にしましょう。
30代の平均収入
厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査の概況p.2によれば、30代の一般労働者の平均月収は男性30.7万円、女性24.9万円です。
平成30年度証券投資に関する全国調査によれば、30代の税込み年収の平均は男女別で以下の表の通りです。
年齢 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
30~34歳 | 427万円 | 140万円 |
35~39歳 | 449万円 | 165万円 |
30代で投資している人の割合
金融庁の「若年層を中心とした個人による投資の現状とNISAの利用促進に向けた課題に関する調査」報告書によれば、アンケートに対して投資経験ありと答えた30代の割合は男性41.2%、女性16.2%です。
女性の場合、30代の投資経験割合は20代に比べて2倍に増加しており、30代で投資を始める人が多いことが分かります。
30代の投資金額
平成30年度証券投資に関する全国調査によれば、株式や債権などの有価証券の保有額の平均は男女別で以下の表の通りです。
年齢 | 男性の平均保有額 | 女性の平均保有額 |
30~34歳 | 143万円 | 287万円 |
35~39歳 | 271万円 | 245万円 |
平成30年度証券投資に関する全国調査によれば、月々の収入のうち金融商品に回す費用の割合の平均は男女別で以下の表の通りです。
年齢 | 男性の平均割合 | 女性の平均割合 |
30~34歳 | 13.5% | 16.2% |
35~39歳 | 13.6% | 13.5% |
30代での投資のメリット
30代での投資のメリットを確認し投資の必要性を認識しましょう。
長期間の資産運用が可能
投資を成功させるにはある程度の知識が必要になりますが、30代から投資を始めることで投資知識を長期間学ぶことができます。
少額からでも目標額を貯められる
投資期間が短期間だと、リターンを得るためにリスクの高い商品に投資することになり、万が一損失が出た場合、損失分を取り戻せない可能性があります。
30代から長期的に運用すれば、少額からでも目標額を貯めることができ、短期間で利益の出る危険度の高い商品に投資する必要はありません。
複利効果が期待できる
複利効果とは、運用で得た収益を再び投資することで、利息が利息を生んで膨らんでいく効果のことです。
運用で得た利息を次の投資の元本に追加して投資できるので、追加した分さらに利息がつくことになります。
30代から投資を初めて長期的に運用することで、さらに多くの複利効果が期待できます。
30代での投資で気を付けるポイント
30代での投資で気を付けるポイントを確認し、ご自身に合う投資方法を選択しましょう。
収入に見合った少額投資で無理なく運用
投資に資金を回しすぎて生活費に困ることがないよう、収入に対する投資金額の割合を決めておきましょう。
基本的に、投資は収入から生活に必要な資金や貯蓄資金を除いた余剰資金で行います。
目標の貯蓄額をしっかりと立てる
短期間で大きな利益を得るためには、危険度の高い商品に投資をすることになります。
手持ちの資金で実現可能な貯蓄目標を立て、無理のない範囲で投資をすることが重要です。
30代ならではの投資先の選び方
投資には多種多様な方法が存在します。
30代ならではの投資先の選び方を知ることで、ご自身に適した投資方法を選択しましょう。
支出と収入のバランスから投資先を検討する
30代は20代に比べて収入が増加しますが、それに伴い結婚や出産などを経験する人も増えるため支出も増加します。
独身者か既婚者か、また子供の有無等によって自由に使える資金が異なり、それに応じて投資に回せる資金額も異なります。
収入と支出のバランスから、毎月いくらまで投資に回せるかを考えることが重要です。
長期的に積み立てできる投資先を選ぶ
30代でこれから投資を始める方は、ご自身の投資にかけられる時間を考える必要があります。
例えばFXや株式投資などはこまめな管理が必要で、仕事や子育てなどが忙しい方は投資を管理する時間が作れない可能性があります。
投資を頻繁に管理する時間が無い方は、すぐに結果が出るようなリスクの高いものよりも、長期的に貯められるような積み立てタイプの投資信託がおすすめです。
30代なら定年まで30年ほど期間があるので、長期的に小額から始められるNISA(少額投資非課税制度)や個人型確定拠出年金を検討しましょう。
積立保険を検討する
積立保険は毎月決まった保険料を保険会社に支払うことで保障を受けられる、貯蓄性の高い保険です。
満期の返戻率が高ければ、支払った保険料よりも多い保険金を受け取ることができます。
満期保険金だけでなく、万が一亡くなった場合や重い障害になった時の保障も付いています。
30代におすすめの投資方法
以下に、30代におすすめの投資方法を詳しくご紹介します。
一般NISA
一般NISAとは2014年1月からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)のことで、投資によって得られた収益が非課税となる制度です。
投資信託や株式投資で得た収入には20%程度の税金がかかりますが、一般NISA口座を活用すると毎年最大120万円までは、税金による減額のない効率の良い資産運用ができます。
- 日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも利用可能
- 一般NISA口座を通じた年間120万円までの投資による収益が、最長5年間非課税に
- 一般NISAの対象商品は、上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など
- 一般NISAを利用するには一般NISA口座を開設する必要がある
- 口座は1人につき1口座しか開設できない
- 口座開設の手続きでは税務署の確認が必要
5年間で最大600万円(120万円×5年間)までの投資元本から得られる収益について非課税になります。
5年間の非課税期間が終了した後の選択肢は売却、課税口座への移管、ロールオーバーの3つがあります。
ロールオーバーとは、一般NISA口座に保有している金融商品を翌年の非課税枠に移し非課税で保有し続けることができる仕組みで、ロールオーバーを選択することでさらに5年間、非課税の適用を受けられます。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、長期的な資産形成を行いたい投資の未経験者・初心者をサポートするために導入された非課税制度です。
つみたてNISAの非課税となる投資枠は年間40万円までで、その枠内で定期的に継続して積立投資を行って得られた収益について最長20年間、非課税になります。
- 日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも利用可能
- 非課税となる投資枠は年40万円まで。最長20年間、収益が非課税に
- 金融庁に届け出のあった株式投資信託とETF(上場投資信託)で定期的に継続して積立投資を行うことが条件
20年間で最大800万円(40万円×20年間)の投資元本から得られる収益が非課税になります。
iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)の正式名称は個人型確定拠出年金で、加入者が掛金を出して自ら金融商品を選んで運用を行い、積み立てた資産は60歳以降に一括または分割で受け取ります。
- 掛金の最低額は月額5000円から
- 掛金を出すのも運用するのも、加入者自身の判断で行う
- 運用成績によって将来受け取る額が変わる
- 原則として自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)など、20歳以上60歳未満のほとんどの人が加入できる
- 積み立ては原則60歳までで、積み立ててきた資産の引き出しは60歳まで引き出せない
- 自営業者、公務員、専業主婦(夫)、会社員のそれぞれで掛金の上限が異なる
運用によって得た収益については非課税で、iDeCoで積み立てた掛金の全額が所得控除になるため、所得税や住民税が軽減できます。
60歳以降に積み立てた資金を受け取る場合、全額をまとめて受け取る場合は退職所得控除が、分割で受け取る場合は公的年金等控除が受けられ、所得税が軽減されます。
投資信託
投資信託とは投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品です。
元本は保証されていない分、リスクゼロではありませんが、専門家が運用するため、仕事や家庭のことで忙しい方や投資経験が無い方におすすめの商品です。
専門家に託す資金額は投資商品によって様々であり、1万円から始められる小口のものから、不動産投資信託(REIT)など100万円前後で始めるものがあります。
国債
国債とは国が発行する債券で、国債を購入するということは国に一定期間お金を投資するということです。
定期的に利子が支払われ、満期になると元本の返済を受けることができます。
国が発行している債券なので、元本割れする可能性が極めて少なく安定しているのが個人国債の運用です。
国債は、銀行や証券会社などの金融機関で1万円から購入できます。
株式投資
株式投資とは、企業が発行する株を購入することで企業に出資し、出資金に応じて配当金や株主優待などが受けられる仕組みです。
株を購入価格よりも高い価格で売却すれば利益が得られます。
日々の株価の値動きを頻繁に確認する必要があり、投資の管理に時間をかけられる方におすすめの商品です。
保険会社の個人年金保険で老後資金を準備する
老後資金を準備するためにも保険会社の個人年金保険を活用しましょう。
個人年金保険とは、タイプ別の紹介
個人年金保険とは、公的年金や会社の企業年金などでは不足する部分を自分で用意する私的年金のことです。
個人年金保険は60歳や65歳まで保険料を支払い、払込が終わったら年金をもらい始めるのが一般的です。
保険料を納めることで、契約時に定めた時期から、年金または一時金として保険金を受け取ることができ、主に「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類があります。
それぞれの年金受取期間と被保険者が死亡した場合については以下の表の通りです。
確定年金 | 有期年金 | 終身年金 | |
年金受取期間 | 10年・15年など固定 | 10年・15年など固定 | 生存中ずっと |
被保険者が死亡した場合 | 遺族が残存期間に対応する年金、あるいは一時金を受け取れる | 遺族は受け取れない | 遺族は受け取れない |
有期年金や終身年金に加入している被保険者が死亡した場合でも、受取保証期間がある商品は保証期間の間は遺族が年金を受け取れます。
受取保証期間の有無や期間の長さは商品によって異なります。
ご自身に合う個人年金保険を選択し老後資金を準備しましょう。
個人年金保険の具体例
明治安田生命の「じぶんの積み立て」は、保険料の払い込みが5年で終了し保険期間10年の積立保険で、月額保険料5,000円から加入できます。
月額保険料5,000円の場合、払込保険料は合計300,000円、10年満期の場合の受取率は103%なので、309,000円を満期保険金として受け取れます。
いつ解約しても返戻率が100%以上な点もポイントです。
加入時の健康状態に関わらず申し込める保険商品です。
老後に必要となる生活費
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度)によれば、夫婦2人で旅行や趣味などができるゆとりある老後(66歳以降)を送る上で必要な生活費は月36万円、最低限の老後を送る場合でも月22万円の生活費が必要です。
生命保険文化センター(令和元年度)の調査によると、老後資金を使い始める年齢は平均66歳です。
公的年金、厚生年金でいくらもらえるか
日本年金機構によれば、令和元年度と令和2年4月以降の年金額は以下の表の通りです。
令和元年度(月額) | 令和2年度(月額) | |
国民年金(老齢基礎年金) | 65,141円 | 65,008円 |
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 220,724円 | 220,266円 |
個人年金保険の加入状況、平均保険金額
生命保険文化センターの個人年金保険の加入状況調査によれば、世帯主年齢別にみた平成30年度の個人年金保険の世帯加入率は30代で以下の表の通りです。
年齢 | 平成30年度の加入率 |
30~34歳 | 18.6% |
35~39歳 | 20% |
30代で資産運用を始めよう
30代の資産運用状況や資産運用するメリット・デメリット、おすすめの投資方法などを紹介しました。
公的な制度であるNISAやiDeCoは投資経験の少ない方でも、特に始めやすい制度です。
ご自身に合う投資方法を見つけ、30代から資産運用を始めましょう。