
訪問看護に適用できる公的保険は2種類!?条件や自己負担額を解説!
2020-06-30
目次
訪問看護とは
訪問看護とは、主治医が訪問看護指示書を発行してから、病院・診察所・訪問看護ステーションに所属する看護師・理学療法士・作業療法士などが患者の自宅に訪問し、医療的なケアを施すサービスです。
訪問看護のサービス内容について
訪問看護のサービス内容としては以下の例が挙げられます。
- 血圧や体温などの測定、体調管理
- 医師から指示された点滴や注射などの医療処置
- 排泄や入浴の介助など日常生活におけるケア
- 介護者である家族の介護における相談対応
- 自宅でより良く最期を迎えられるような終末期のケア
参照先:日本訪問看護財団
訪問看護で適用される医療保険と介護保険
訪問看護を受ける際は、公的医療保険または公的介護保険が利用可能です。
公的医療保険を適用する利用者の条件
医師から訪問看護指示書を受け取った方で、以下のいずれかに当てはまれば訪問看護を受ける際に公的医療保険が適用できます。
- 40歳未満の方
- 40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていない方
- 末期ガンや多発性硬化症などの重い病気の場合は要介護・要支援の認定を受けていても利用できる
参照先:アフラック
公的介護保険を適応する利用者の条件
医師から訪問看護指示書を受け取った方で、以下のいずれかに当てはまれば訪問看護を受ける際に公的介護保険を利用できます。
- 要介護・要支援の認定を受けた65歳以上の方
- 要介護・要支援の認定を受けた40歳以上65歳未満で、末期ガンや骨粗鬆症、早老症、脳血管疾患などの16特定疾病の方
参照先:アフラック
公的医療保険と公的介護保険は同時に利用できない
公的医療保険と公的介護保険は同時に利用できません。
訪問看護の患者が要介護・要支援の認定を受けている場合、公的介護保険が優先されます。
訪問看護の自己負担額
訪問看護の自己負担額は、公的医療保険を適用する場合、公的介護保険を適用する場合でそれぞれ異なります。
公的医療保険を適用する場合
公的医療保険で訪問看護を受ける場合は、必要になった医療費や訪問看護費の一部を自己負担することになります。
自己負担の割合は以下のように年齢や所得によって異なります。
- 未就学児は2割
- 小学校入学後~69歳までは3割
- 70~74歳は2割(現役並みの所得者の場合は2割~3割)
- 75歳以上は1割(現役並みの所得者の場合は2割~3割)
ただし、70歳を過ぎても年収約370万円以上の方は現役並みの所得者として扱われ、今までと同じ自己負担の割合になります。
24時間での対応や、休日などの時間外サービスは差額を自己負担しなければなりません。
また、訪問看護を受ける際の看護師・理学療法士・作業療法士などの自宅までの交通費、患者のおむつ代・ご逝去後の処置にかかる費用に関しても自己負担になります。
公的介護保険を適用する場合
公的介護保険を適用して訪問看護を利用する場合、支給限度額の1割を自己負担するのが一般的です。
ただし、対象者が年収約370万円以上で現役並みの所得者と扱われる場合には2~3割負担しなければなりません。
要介護度によって公的介護保険から支給される限度額と自己負担額は異なり、支給限度額を超過した場合は全額自己負担となります。
参照先:ナースアテンダント
介護度別の自己負担額
要介護度と支給限度額に合わせた自己負担額は以下の通りです。
要介護度 | 支給限度額 | 自己負担額(支給限度額の1割) |
要支援1 | 50,030円程度 | 5,003円程度 |
要支援2 | 104,730円程度 | 10,473円程度 |
要介護1 | 166,920円程度 | 16,692円程度 |
要介護2 | 196,160円程度 | 19,616円程度 |
要介護3 | 269,310円程度 | 26,931円程度 |
要介護4 | 308,060円程度 | 30,806円程度 |
要介護5 | 360,650円程度 | 36,065円程度 |
要支援1から要介護5にかけて、心身の状態はだんだん悪化していきます。
要介護度は、病気の重症度と介護サービスの必要度から総合的に判断されます。
要介護度の認定の手順については厚生労働省がまとめたデータをご参照ください。。
自費で民間の訪問看護サービスの利用も可能
公的医療保険や公的介護保険を利用せず、自費でも民間の訪問看護のサービスを受けられます。
また、自費で利用する場合は認定された要介護度や病気の種類、年齢、利用回数などに制限が全くなく、患者の要望に合わせたケアを自由に受けることもできます。
費用は民間の訪問看護事業者によって異なり、全額自己負担です。
公的医療保険もしくは公的介護保険を適用する公的な訪問看護と、自費による民間の訪問看護を同時に利用することも可能です。
自費の訪問看護の費用負担を減らす民間介護保険
民間の医療保険では、訪問看護は通院給付金の対象外になる場合が多いため、加入前に給付金の適用条件の確認が必要です。
一方で民間の介護保険では、要介護状態になったタイミングで一時金や年金が給付され、訪問看護の費用を抑られます。
訪問看護には利用回数制限・利用時間制限がある
公的医療保険を適用する場合
公的医療保険を適用する場合は、原則として週1~3回まで利用可能です。
訪問1回あたりの時間は30~90分となります。
特定疾患がある場合
厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等にかかっている患者と特掲診療料の施設基準等別表第8の各号に掲げる患者は訪問1回の回数は無制限で、週に4回以上訪問看護のサービスを受けられます。
症状が悪化している場合
医師によって症状の悪化が認められた場合は、特別訪問看護指示書が交付され、1ヵ月に1回のみ14日間連続で訪問看護のサービスを受けられます。
特別訪問看護指示書の交付に加えて、心臓や血管などに挿入する気管カニューレを使用する場合や皮膚の組織に壊死をもたらす褥瘡を持つ場合は、28日間連続で訪問看護のサービスを受けることができます。
公的介護保険を適用する場合
公的介護保険を適用する場合は、利用回数に制限はありません。
1回の訪問時間は以下の4つの時間帯に分かれており、好きな時間帯を選択できます。
- 20分未満
- 30分未満
- 30分以上60分未満
- 60分以上90分未満
自費で民間の訪問看護サービスを利用する場合
利用回数や利用時間に特に制限はありません。
訪問看護の相談窓口について
日本訪問看護財団
日本訪問看護財団では、訪問看護に関する疑問に答える相談窓口を設けています。
相談窓口の利用方法
電話を利用する場合
- 電話番号:03-5778-7007
- 受付時間:9:00~12:00, 13:00~16:00(月曜日、水曜日、金曜日)
FAXまたはメールでも相談が可能
- FAXの番号:03-5778-7009
- 問い合わせフォームに返信用のメールアドレスを記入し、相談することが可能です。
最後に
訪問看護の費用や利用制限は、公的医療保険と公的介護保険のどちらを適用するかで異なります。
また、保険を利用しなくても自費で訪問看護のサービスを受けることが可能です。
訪問看護のことで何かお困りのことがあれば、日本看護財団の相談窓口にお問い合わせされることをおすすめします。