
40代は仕事や家事などで忙しい年代である一方で、自分の老後についてしっかり考え始める人も多いです。
この記事では40代に個人年金保険への加入をおすすめする理由を説明し、個人年金保険について詳しく解説していきます。
目次
個人年金保険とは
個人年金保険とは公的年金に上乗せして年金を受け取れる私的年金のことです。
個人年金保険では毎月定められた保険料を一定期間支払い、60歳や65歳など所定の年齢に達したら今まで積み立てた年金がまとまって受給できます。
個人年金保険の商品の中には支払う保険料の総額よりも多くの年金を受け取れるものもあり、貯蓄としての機能も果たしています。
40代のライフステージの特徴
40代になると年収が増え、経済的に安定する傾向にあります。
国税庁の「平成30年度民間給与実態統計調査」によると、40代全体の男性平均年収は608万円、40代全体の女性平均年収は316万円となっています。
40代は老後に向けて貯金や保険について考える機会が増えてきたり、個人で老後資金を貯蓄し始める人が多くなってきます。
40代に個人年金保険をおすすめする理由
40代に個人年金保険の加入をおすすめする理由は以下の3点です。
個人年金保険料税制適格特約を付加できる
個人年金保険料税制適格特約とは、個人年金保険の加入者が個人年金保険料の所得控除を受けられる特約です。
個人年金保険加入時に個人年金保険料税制適格特約を付加すると、一般生命保険料控除とは別に個人年金保険料控除を受けられます。
個人年金保険料控除により支払う保険料は所得税と住民税から控除されます。
年間の支払い保険料に合わせた所得税と住民税の控除額は以下になります。
所得税
年間払込保険料額 | 控除額 |
〜19,999円 | 保険料全額 |
20,001円〜40,000円 | (保険料×1/2)+10,000円 |
40,001円〜80,000円 | (保険料×1/4)+20,000円 |
80,001円〜 | 一律40,000円 |
住民税(新制度)
年間払込保険料額 | 控除額 |
〜12,000円 | 保険料全額 |
12,001円〜32,000円 | (保険料×1/2)+6,000円 |
32,001円〜56,000円以下 | (保険料×1/4)+14,000円 |
56,001円〜 | 一律28,000円 |
特に40代は20代30代と比べて税負担が大きい高所得者の方が多く、所得控除により課税所得を減らせるため大きな節税効果が期待できます。
個人年金保険料税制適格特約を付加するためには以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 年金の受取人が契約者か、契約者の配偶者であること
- 年金の受取人が被保険者と同一であること
- 保険料の払込期間が10年以上であること
- 年金の受給開始が60歳以上で、受給期間が10年以上であること
保険料を抑えて月払いできる
個人年金保険を月払いで契約する場合は払込期間が短くなるほど月々の保険料は高くなり、辺戻率は低くなってしまうため注意が必要です。
40歳から個人年金保険に加入すれば支払い期間が20年以上あるため、月々の保険料を抑え、高い辺戻率も期待できます。
50代になると月々の保険料は高くなり、返戻率も低くなってしまう恐れがあります。
計画的に老後資金を積み立てられる
銀行預金に貯金しているだけでは日本の金利が低いためお金は増えません。
個人年金保険の場合は保険料を支払うことによって計画的にお金を積み立てることができ、最終的には支払った保険料よりも多くの年金を老後資金として受け取れます。
個人年金保険は指定した1つの銀行口座から毎月自動で保険料が引き落とされるため、強制的に老後資金を積み立てられます。
銀行に預けたお金はATMからいつでも引き出すことができます出来ますが、個人年金保険の場合は途中解約しにくくお金を引き出しにくいため、浪費を防くことができます。
40代の個人年金保険の加入率
生命保険文化センターの平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、40代の個人年金保険の世帯主の世帯加入率(全生保)は以下の通りになります。
平成18年 | 平成21年 | 平成24年 | 平成27年 | 平成30年 | |
40~44歳 | 26.1% | 28.0% | 28.0% | 21.2% | 23.1% |
45~49歳 | 22.3% | 25.7% | 25.9% | 26.3% | 27.9% |
40代の約30%の人が個人年金保険に加入していることが分かります。
個人年金保険の平均払込保険料
生命保険文化センターの平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、個人年金保険の世帯年間払込保険料(全生保)は平均で20.1万円となっています。
個人年金保険の主な3つの種類
個人年金保険には主に円建て・外貨建て・変額の3つの種類があります。
円建て個人年金保険
円建て個人年金保険とは円で保険料を支払い、円で年金を受け取る保険です。
個人年金控除を適用できる
円建て個人年金保険では個人年金保険料控除を受けられ、所得税と住民税を節税でき、所得税と住民税の最大控除額はそれぞれ40,000円と28,000円になっています。
外貨建てや変額の場合は、個人年金保険料控除とは別の一般生命保険料控除の対象になります。
貯蓄性が低い
円建て個人年金保険の予定利率は1%が一般的なため、円建て個人年金保険で保険料を支払っても最終的にお金はほとんど増えません。
インフレに対応できない場合がある
物価の高騰が継続的に起こるインフレが進んだ場合、老後資金として預けたお金が実質的に元本割れをしてしまう可能性があります。
外貨建て個人年金保険
外貨建て個人年金保険とは外貨で保険料を支払い、円で年金を受け取る保険です。
貯蓄性が高い
外貨建ての個人年金保険は円建てのものと比較して利回りが高く、予定利率は2~3%が一般的です。
為替変動の影響を受けやすい
外貨建ての個人年金保険は為替リスクがあることに注意が必要です。
為替レートが円高ドル安に進んでしまった場合は元本割れすることがあります。
反対に為替レートが円安ドル高の場合は多くの利益を得ることができます。
変額個人年金保険
変額個人年金保険とは、株式や債券を中心に特別勘定で資産運用をし、運用実績によって将来受け取れる年金が変動する保険です。
特別勘定とは、被保険者が貰える保険金等を運用実績に応じて増減させるために、保険会社が預かった保険料を他の保険種類とは区別をして管理と運用をする勘定のことです。
投資性が高い
保険会社の運用実績によって受け取れる年金の金額が変動します。
他の個人年金保険とは違って高い投資性があります。
元本割れするリスクが大きい
保険会社の運用実績が良ければ受け取れる年金の額は大きくなりますが、悪ければ大きく元本割れする可能性があります。
保険会社の過去の運用実績を調べてから変額個人年金保険を検討した方が良いでしょう。
個人年金保険の選び方
個人年金はそれぞれの目的に合わせて選ぶ必要があります。
安定性を重視するなら円建て
将来確実に年金を受け取りたいと考えている方には円建て個人年金保険がおすすめです。
外貨建てや変額個人年金と比べて利率は低くお金を増やすことはできませんが、確定している金額を受け取れるため安心です。
多少のリスクを取ってもお金を増やしたいなら外貨建てや変額タイプ
円建て個人年金保険とは対照的に外貨建て個人年金保険では利率が高く、また変額個人年金では保険会社の株式や債券の運用実績によって受け取れる年金の金額を増やすことが可能です。
お金を増やすことができる一方で為替コストや保険会社の運用状況が悪い場合などの大きなリスクを考えなければなりません。
保険金の受取期間を決める
個人年金を受け取る方法は有期タイプと終身タイプの2つの種類があります。
有期タイプ
有期タイプは年金を受け取れる期間が10年や15年などあらかじめ決まっています。
もし被保険者が受け取る期間中に亡くなってしまったとしても被保険者の家族が年金を最後まで受け取れることができるため、支払った保険料よりも多くの年金を受け取れる可能性が高いです。
終身タイプ
終身タイプは被保険者が死ぬまで一生涯にわたって年金を受け取れます。
被保険者が長生きすれば多くの年金がもらえる一方で、被保険者が早く亡くなってしまった場合は年金の受給がストップしてしまうので元本割れするリスクあります。
おすすめの個人年金保険
40代におすすめの個人年金保険は以下の通りになります。
保険会社 | マニュライフ生命 | 住友生命 | JA共済 |
商品名 | こだわり個人年金(外貨建) | たのしみワンダフル | 予定利率変動型年金共済ライフロード |
種類 | 外貨建て | 円建て | 円建て |
契約可能年齢 | 0~60歳 | 0~75歳 | 18~85歳 |
年金受取期間 | 5年確定
10年確定 10年保証期間付き終身 |
5年確定
10年確定 15年確定 |
5年確定
10年確定 15年確定 |
払込方法 | 月払い
半年払い 年払い 一括払い(2~12ヵ月分) 前納(2~40年分) |
月払い
半年払い 年払い |
月払い
年払い |
払込経路 | 口座振替
カード払い |
口座振替 | 口座振替
カード払い |
特約 | 税制適格特約 | 保険契約者代理特約
被保険者代理特約 |
指定代理請求特約
税制適格特約 |
マニュライフ生命:こだわり個人年金
特徴
- 保険料を毎月円で支払う
- 積立利率は年1.5%で最低保証されており、為替変動リスクに対応している
- 年金を受け取る方法は全部で4種類あり、経済状況に合わせて選べる
- 一定の条件を満たせば保険料払込期間中に保険料の払い込みの停止や再開ができる
住友生命:たのしみワンダフル
特徴
- 返戻率が高い
- 年金受取開始の据え置き期間があり、年金の受取額を増やせる
- 毎月一定額以上の保険料を支払うと返戻率を上げることができる
JA共済:予定利率変動型年金共済ライフロード
特徴
- 個人年金保険料控除を適用できる
- 一度増加した年金額は減らないため元本割れを防げる
- 医師の診査なしで簡単な告知のみで申し込める
FPに相談することも大事
個人年金保険は最低でも40代から加入し始め、老後資金を着実に準備していくことが大切です。
個人年金保険には円建て、外貨建て、変額の主に3つの種類があり、それぞれの保険においてメリットとデメリットが存在するためどの保険が自分に合っているのかわからないことが多いと思います。
何か困ったことがある場合には保険の専門店やファイナンシャルプランナー(FP)の保険のプロに相談することも1つの方法です。