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がんのリスク
国立がん研究センターの公表している最新の統計によると、日本人の場合、生涯で何らかのがんにかかる確率は男性で24%、女性で15%です。
人数でいうと、日本では1年間で約100万人ががんと診断され、その内約40万人が同年の内に死亡しています。
また厚生労働省の発表している統計によると、死因全体の中でがんによる死亡者数の割合は約3割であり、死因第1位となります。
がん罹患の年齢別リスク
がんにかかるリスクは、男性も女性も80歳あたりまでは増加し続けることが報告されています。
また、性別ごとの死亡リスクを比較してみると、30歳代から50歳代前半では女性の方が死亡リスクが高く、60歳代以降は男性の方が高いことが示されています。
若年層の女性の死亡リスクの高い理由は、女性ホルモンや運動不足によって乳がんや子宮頸がんになりやすいことが大きいです。
がん診断後の生存率
がんと診断された場合、治療でどのくらい命を救えるかを示す指標として5年相対生存率が挙げられます。
5年相対生存率とは、がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合を指します。
最新のがん統計では、2009年から2011年にがんと診断された人の5年相対生存率は男性で62.0%、女性66.9%でした。
つまり、がんと診断されて5年後まで存命している人はわずか6割程度になります。
掛け捨て型のがん保険とは
掛け捨て型のがん保険とは、解約時の返戻金や満期金などが受け取れないタイプの保険を指します。
掛け捨て型のがん保険では解約返戻金等を受け取れない代わりに、保険料がリーズナブルであるなどの特徴があります。
そもそも掛け捨て型とは
そもそも「掛け捨て」とは生命保険の用語であり、満期保険金がなく、支払った保険料が戻らない(保険の)ことを意味します。
そのため、掛け捨て型のがん保険では、病気や怪我などで保険金が必要にならない限り、お金は戻ってきません。
定期型と終身型
掛け捨て型のがん保険は、定期型と終身型に分類されます。
定期型と終身型のがん保険では、主に保障期間と保険料が異なります。
定期型の場合、一定期間だけ保険料を支払い、保障が受けられます。
一定期間以降も引き続き保障を受ける場合、保障期間は自動更新され、それに伴い保険料が上がります。
更新は基本的に5年ごとの場合が多く、特に50代以降になると保険料が大きく増加します。
一方で終身型の場合、支払う保険料は変わらず、解約しない限り一生涯保障されます。
また、終身型のがん保険では、保険料をいつまで支払うかを決めることもできます。
定期掛け捨て型に向いている人
定期型は一定期間ごとに更新がされるため、自分の財政状況や健康面にあわせて保障内容を都度変更したい人向きです。
また、50歳前後までは定期型の方が終身型よりも保険料が安いため、その時期の金銭的負担を抑えたい人にも向いています。
終身掛け捨て型に向いている人
終身型では常に一定の保険料を払い続けるため、家計のキャッシュフローをなるべく一定に保ちたい人に向きです。
また、保障内容がずっと変わらないため、その都度見直すのが面倒臭い人にも終身掛け捨て型が向いています。
掛け捨て型のメリット
掛け捨て型のがん保険を選択するメリットとして、保険料の安さと保険の見直しやすさが主に挙げられます。
そのため、将来の生活環境が大きく変化する可能性や、不安がある人にとって選択しやすいことが長所です。
保険料が安い
掛け捨て型のがん保険は、貯蓄型のがん保険と比べて一般的に保険料が安いです。
そのため、掛け捨て型のがん保険であれば保険料を低く抑えつつ保障を受けられます。
例えばオリックス生命では30歳の男性が保険期間10年の掛け捨て型保険に加入する場合、保険料は定期掛け捨て型で698円(月払い)、終身掛け捨て型で2,005円(月払い)である一方、貯蓄型における保険料は10,870円(月払い)です。
保険を見直しやすい
掛け捨て型のがん保険の場合、解約時に返戻金がでないケースがほとんどです。
そのため保険加入後により良い条件の保険を見つけたときに、解約するデメリットを考えずに切り替えることができます。
ライフステージの変化に応じ、柔軟に保険の見直しや変更を行えることが長所です。
掛け捨て型のデメリット
掛け捨て型のデメリットとして一般的なのが、解約返戻金や満期保険金が出ないことです。
掛け捨て型のがん保険は保険料が安い反面、途中解約した場合に受け取れる解約返戻金や、保険が満期を迎えたときに受け取れる満期保険金を受け取ることができません。
そのため、掛け捨て型はあくまでがんを保障するためだけの保険商品であり、貯蓄など他の性質は有していません。
つまり、がんにならなかった場合、支払っていた保険料が無駄になってしまいます。
掛け捨て型がん保険に向いている人
掛け捨て型の主な特徴は、保険料が安いこと、そして解約返戻金や満期保険金を受け取れないことです。
そのため、子供の教育費や住宅ローンなどの支払いで金銭的な負担をなるべく回避しつつ、万が一がんになったときの保障が欲しい人にとっては掛け捨て型のがん保険が向いています。
また、掛け捨て型はがん保険の最大の意義である「がんになったときの保障」を割安で提供してくれることから、多くの人は掛け捨て型を選択する傾向にあります。
貯蓄型のがん保険とは
貯蓄型のがん保険とは、解約時に、今までに支払った保険料の一部を解約返戻金として受け取れるがん保険のことを指します。
そのため貯蓄型がん保険は、保障機能と貯蓄機能の両方を合わせ持つ保険商品であり、その保険期間は一生涯である終身タイプや一定期間のみのタイプが存在します。
そもそも貯蓄型とは
そもそも貯蓄型とは、文字通り保険料を「貯蓄」できるタイプの保険商品を指します。
貯蓄型の保険では、普段支払う保険料の一部を積み立てることで、途中で解約したり満期を迎えたとき、積み立てた保険料から返戻金や満期保険金を受け取れます。
そのため,単に有事のときの保障だけでなく、資産形成の手段として利用できるのが貯蓄型の特徴です。
貯蓄型のメリット
貯蓄型のがん保険に加入するメリットは、保障以外の用途としても保険を活用できる点です。
保障以外の活用方法があるため、貯蓄型のがん保険ではもしがんにならなかったとしても、加入し続けたことによる恩恵を受けられます。
貯蓄性がある
貯蓄型のがん保険では、普段支払う保険料の一部が積み立てられ、最終的に自分に還元される貯蓄性を有しています。
貯蓄型保険は2020年6月時点、積立利率が1%未満のものが一般的です。
仮にがんにかからない場合も、返戻金や満期保険金を最終的に受け取れるので、全くの無駄にはならないことが長所といえます。
貯蓄型のデメリット
貯蓄型にはがんになったときの保障以外にもメリットがある一方で、デメリットも存在します。
貯蓄型のがん保険に加入するデメリットの中でも代表的なものとして、保険料の高さが挙げられます。
保険料が高い
同じ保険金額、年齢、性別、保険料の支払方法で比較した場合、貯蓄型の保険料は掛け捨て型の保険料に比べて一般的に高くなります。
・貯蓄型のがん保険は、早期で解約してしまうと解約返戻金が払込保険料を大きく下回ってしまうため短期間での解約がしづらく、普段の保険料支払いによる金銭的負担が掛け捨て型に比べてかなり重くなってしまいます。
保険を見直しにくい
解約返戻金は、払込保険料に解約返戻率を乗じて算出され、保険料の支払期間が長くなればなるほど返戻率がアップするので、途中で解約すると受け取れる解約返戻金が少なくなります。
貯蓄型のがん保険を短期で解約してしまうと、解約返戻金が払込保険料を大きく下回り、元本割れするリスクがあります。
そのため、貯蓄型のがん保険では保険を見直しづらいのが難点です。
保険会社の経営状態に注意する必要がある
貯蓄型のがん保険に加入する場合、保険会社の経営状態をしっかりと確認しないと大きな損失を被る可能性があります。
なぜなら万が一保険会社の経営が破綻すると、生命保険契約者保護機構により一定の契約者保護が図られますが、解約返戻金を全額受け取ることはできません。
生命保険契約者保護機構には国内すべての生命保険会社が加入しており、破綻した生命保険会社の契約を引き継ぐ「救済保険会社」あるいは「承継保険会社」に対し、必要に応じて資金援助がなされます。
実際に1997年以降、日本では生命保険会社が8社、損害保険会社が2社破綻したため、貯蓄型に保険の加入者に損失が発生したケースがあります。
貯蓄型がん保険に向いている人
貯蓄型の特徴は、普段支払う保険料を積み立てて貯蓄できること、および保険料が高いことです。
家計に比較的余裕のある人で、がんの保障だけでなく貯蓄や資産運用の観点からがん保険を利用したい人にとっては貯蓄型のがん保険が向いています。
まとめ
本記事では掛け捨て型と貯蓄型のがん保険について、その概要やメリット、デメリットを紹介しました。
掛け捨て型や貯蓄型のがん保険にはそれぞれ異なるメリットとデメリットを有しているため、自分の生活環境やがん保険に何を求めるかを明確にした上で、自分に合ったがん保険に加入しましょう。